シナイの王国

演劇部顧問ナカムラのあれこれ

ほんとうに大変なのは

桐野夏生「メタボラ」読了。「OUT」以来手を出していなかった
作家ですが、「王様のブランチ」で紹介されたという非常に
説得力のある理由で手に取る。読んじゃった。
ニート、請負、DV、ネグレクト、集団自殺、およそ気持ちのいい話ではない。
だが一気に読んだ。この主人公の境遇に近いところまで陥る可能性のある人、
多いだろう。

実は脚本について考えをまとめる必要があるので、少しずつメモを取っている。
なぜ、創作脚本には、妖精、天使、猫がよく出てくるのか、ということに
突き当たる。負の因子でも死神、悪魔だ。
ロード・オブ・ザ・リング」のCGにいくらかかってるか知っているのか?
あれだけ使って説得力をだしているのに、いきなり出てきて「天使です」と
言われても信じるわけがないだろう。
と、怒ってもしょうがない。

たぶん「キャラクター」という概念を理解しないと分からないらしい、
というところまで考えたのだが、といっておれが止めても、
やまらないだろうな、天使と悪魔。

あのサイトの罪は大きいと思うよ。
その前に、演劇とは何か、とか大きいところから
みんなで(部員で、部員と顧問で、顧問と顧問で)
考える習慣がないことが、安易な創作と作品選びに
なってしまうのだろうが。
あなたの大切な時間を、かけがえのない青春を、天使と悪魔に
かけていいのか?