シナイの王国

演劇部顧問ナカムラのあれこれ

2024年度は

2024年度の予定が決まりつつあります。
国語の非常勤講師として県立甲府南高校(継続・自分の母校)と県立巨摩高校(母の母校・ごく近所に管理を任されている母の実家あり・売却希望)、北杜市立甲陵高校(附属中学校から配置換え)に出講。なんと23年度の五割増しのコマ数。「個人事業主だ、売り上げ売り上げ」とか言っていた罰が当たりました。
演劇部の外部指導員として甲府南高校、甲陵高校この二校は継続。
その他じぶんのお芝居といくつかの審査員。
ご用の方はお気軽にお声かけください。売り上げ売り上げ。
楽しかった韮崎工業はカリキュラムの改訂で国語の非常勤はなし。「月3万」はちょっと忘れられない経験で、率直で素直なよい生徒たちでした。お勉強は苦手だと思い込んでいましたが、授業の仕方を変えたら見事に集中するようになり、成果は人それぞれですが、この人たちは勉強ちゃんとするんだと気づいて、最後の授業で「すみません、舐めてました」と謝りました。「しょうがない、許してやる」だそうです。
甲陵中でずっと教えるつもりが高校に行けと言われてしまいました。まあしょうがない。挨拶する間もなく出て行ってしまいました。隣の棟なんですが。これも非常に楽しい経験で、まあ質問があとからあとから出てくる。中学一年とポリコレについて議論するとは思っていませんでした。優秀な生徒たちで、まあ山梨県にしては厳しい入試を乗り越えてきたので当然ですが、文化祭の劇をやった感想を聞いていて衣装係の感想が次の通りです。「多様性の中にも統一感のある衣装を作れてよかったです」だそうです。これは12歳の発言。
 
 
 
 

先生はかっこだけの男ではない

何十年ぶりかに中学校でも教えている。中高一貫校の高校の演劇部で外部指導員をしていますが、中学のほうで国語が足りず、非常勤講師をすることになりました。

中学受験を突破してきた生徒たちですが、入試から解放された一年生がたいへん元気がよく、楽しく授業ができています。

まああまり教えずにとりあえずやらせてみて、話合わせて、どちらかというとアウトプット重視でやってますが、詩の解釈はたいへんだったみたいで、教えあいでも苦労していました。そこで、先生の意見も言ってもいい?ということで数編、解釈をしてみました。

詩歌の解釈というか訓詁注釈は学生時代たたきこまれていますので、高校ではどこ行っても、進学校でもそうでなくても、普通科だろうと実業高校だろうと聞かせる自信はまああります。拍手が起きたこともあります。国語科の教員のなかでも、現古漢問わず詩歌が得意という珍しいタイプです。中学校はどうかというと、たぶん、自分の意見を言うことを主眼でやってきた最近の生徒なので、聞くかなと思っていたのですが、これがよく聞きました。いい間で質問も来たりして生徒も高揚してきて、教員は経験していると思いますが、いわば教室がゾーンに入りました。数分のことですが話し終わるとあちこちで嘆息がもれました。こんなの初めてという声も聞こえます。一気に評価が上がりました。モテ期が来たのです。

暑かったのでポロシャツを着ていくとかっこいいという声があがります。かっこいいので漢字テストは明日にしてください、とかよくわからないことを言う生徒も出てきます。そのとき、ある生徒が「先生はかっこだけの男じゃない」と大声で言ったので、漢字テストは予定通り実施しましたが、こんなモテ方もあるのかと思いました。

モテ期は一瞬で過ぎ去っていき、今はもうただのおじさん先生でちょっとほっとしています。軽くあつかわれるくらいがいいのだと思います。

 

ついでに言うと好きな教材は『平家物語』の『忠度の都落ち』で平忠度が平家が都落ちする中を単騎で都に戻り、藤原俊成に自分の歌を届け、千載集に入れてもらうよう頼むという話です。命よりも君主よりも自分の歌が撰集に入ることが大事、というのにしびれます。そりゃ大事ですよ。当然ですよというのは少数派なんですってね。ここはつまらないので飛ばしましょうと言われてマジか、と思いました。

月3万

今なにをしているかというと、再任用は2023年の3月で終わりにして、高校と中学の非常勤講師をしています。

昨年度再任用で行っていた韮崎工業高校という学校は、生徒が素朴で素直で、ここでもうしばらく続けてもよかったのですが、演劇部の指導ができないので、再任用はよして非常勤講師になり、演劇部の外部指導員をすることにしました。そうは言ってもただの技術指導だけだとおもしろくないので、指導する演劇部に講師の口を求めて、とりあえず先生の立場で部活も見るという半顧問のような立ち位置です。

韮崎工業での一年間はほんとうに楽しく、生徒ともなかよくやってました。去年の三年生があるとき、「先生こどもいるの」というのでうっかり「できなかったんだ」と答えてしまい、言ったそばからしまった、ただいないよ、と答えればよかったと後悔しました。案の定、ここの生徒は優しいので気まずい感じになってしまいました。まあ、ほかの学校だと「子どこいるの」という質問も来ないのですが、ここは何事も率直なので。何とかしようとして「養子になるか」と冗談で返すとクラス中ほっとしたように笑いが起きます。あ、授業中の話です。そうすると質問をした当人が「いいね、行こうかな」と言って、また笑いが起きる。「先生は金持ちだそうだからいいんじゃないか」とかみんなではやします。そうするとまた当人が「先生、おれ、月に三万は入れるからね」と言ったので、これはちょっと、感動しました。受験する子もいますが、多くは就職するので、来年からはちゃんと稼ぐんだという、なんというか腹が座っている生徒が多いんです。

うちに帰って妻に話すと、ちょっと涙ぐんで「偉いねえ」と言ってました。この話はほかで何度もしてるのですが、3人くらい泣かしています。今まで甲州弁で言うとこうしゃっぽい生徒とばかり付き合っていたので、こんな率直な気取らない物言いをする生徒は久しぶりでした。こうしゃっぽいというのは生意気、かっこつけというようなニュアンスです。

「先生は元ヤンですか」と聞かれた時もうれしかったです。仲間に入れてくれたのかなとも思いました。「いやオタク」と答えると「何オタクですか」と言うので一応「純文学オタク。夏目漱石とか太宰治とか」と答えると、この返しも本当によかった。「好きなことがあるのはいいことだね」

彼らは説明が嫌いで聞かないので、とりあえずやらせてみて、できないところを個別に教えたり、生徒同士で教えあったりという授業スタイルだったのですが、彼らだけでなく今までの生徒も説明なんて嫌いだったんじゃないかと気が付きました。また、偏差値70オーバーの生徒も教えてましたが、つまらないとすぐそっぽむくという点では共通してましたので、授業はけっこうたいへんでした。一度も大声も出さず怒りもせず授業できて、まあそれは初めからそうしないでいこうと決めていたのですが達成できてよかったです。「先生くらいがちょうどいい」というお褒めの言葉をいただいたのでよかったです。なにがちょうどいいのかはよくわかりませんが。

演劇部の指導をしたかくてけっきょくやめたのですが、ことしも二コマ授業があるので週二回通っています。こないだ相談を受けたのは、彼女とどこのはま寿司に行けばよいか、電車賃使うべきか、歩かせるべきか、ということで、家に帰って妻に話したらちゃんと真剣にアドバイスしたのかと詰められました。しましたよそれは。

 

 

 

 

山梨オープン2020~2022

山梨オープン小演劇祭は甲府昭和高校演劇部が主催して2008年3月に第1回を山梨県立文学館で開催、2012年からは甲府南高校演劇部が主催、2014年からは会場を甲府南高校フロンティアホールに移して2019年3月の第11回まで実施しました。

他県から1校か2校、山梨から1校を招いて、甲府南がその年度の大会参加作品を上演、その前年度の大会参加作品を卒業したばかりのOBが戻って来て上演、という形が整ってきたところで、2020年3月の山梨オープンから21年3月、22年3月と3回がこのコロナ禍で中止。

第1回は前橋南と土浦第一甲府昭和の上演で秩父農工の若林先生と越智優さんのアフタートーク付きという豪華版。次の年が阿部順率いる柏の葉が『インディアン・サマー』を上演。2011年3月の震災直後は場所を甲府昭和高校の紫映館で秩父農工との対バン。14年からは照明音響舞台客席を部員が組んで上演。高校演劇小劇場派の実験場所のつもりでやっていました。

大学に合格して卒業の3月に上演するのが楽しみだったようですが、こればかりはどうしようもない。

どちらにしても他校を呼ぶのは難しいことはわかっていたので、甲府南の単独開催のつもりでした。2020年3月の第12回はやはり中止になった新潟春季全国で上演する予定だった『イノセント鉄道とぼく』、3年生も交えた『秘密の花園』。2021年3月は『スーパーリリックとマサコさんの帰還』、『イノセント鉄道とぼく』。2022年3月はOBにも声をかけて、大会参加作品『歌は言葉の花』、前年度の大会参加『スーパーリリックとマサコさんの帰還』、OBの『秘密の花園』、『マナちゃんの真夜中の約束・イン・ブルー』、書下ろし新作『付けと転じ』を上演するつもりでしたが、緊急事態宣言で中止。

22年4月に退職、再任用は別の学校、教員生活初めての部活顧問なし、生徒会係、今ここ、に至ります。

平成元年から演劇部顧問でしたが、久しぶりに演劇の上演に関わらない一年になります。

 

マコト先生の帰還

全国大会はけっきょく青森中央一校だけしか見ていないので、国立劇場はとても楽しみにしている。8月28日の大谷と松山東。4回目のワクチン接種が27日なので、副反応が出たら行けない。今まで出ていないので今回も出ないことを祈る。

それにしても3回目の最優秀もすごいが、その前が2000年、2001年というのがなんとも。20年以上空いてるんですよ。

さいしょに話したのは2007年3月の自由劇場の春季全国でしたが、その前年の京都の全国大会で『全校ワックス』をみていただいていて、掲示板に書き込んでもらってからなんとなく縁を感じていました。同い年でもあるので。

マコト先生のところは脚本は越智優作も曽我部マコト作ももちろん面白いのですが、演出と演技がすばらしく、稽古で『夏芙蓉』読んでみたりしたこともあったのですが、ぜんぜん面白くならない。越智優脚本は越智さんかマコト先生が関わらないと面白くならないのではないかと思います。

以前こっそり四国大会に行って、『サチとヒカリ』だけ見て帰ったことがあります。自由劇場の『花柄マリー』『犬山さんと猫田さん』もよかった。毎年演目が気になるのはマコト先生のところと畑澤さんのところだけ。

マコト先生の最優秀賞を祝ってブログに帰ってきました。

緑陽祭公演

甲府南高校演劇部緑陽祭公演は『バスに乗る、九月、晴れ、帰り道』『イノセント鉄道とぼく』二本立て。7月28日(火)甲府南高校。予約のみの30席。一般公開ありません。

一本目は『バスに乗る、九月、晴れ、帰り道』2018年1月の関東大会参加。審査員から「わからないから作者出てきて」と連呼された舞台。二本目は『イノセント鉄道とぼく』2020年1月の関東大会で幻の春季全国に推薦。