シナイの王国

演劇部顧問ナカムラのあれこれ

批評について

そうかといって、もちろん、思わせぶりも困る。「ここにたいへんなものがあるらしい」「ここに重要ななにかがある」「このことについて考えていきたい」世界を解く鍵があるかのように言われても困る。大げさに書けば書くほど、それを発見した自分を褒めてもらいたいかのようだ。だっていったいそれがなんだか分からないのだから。あるいは何も言ってないのをごまかしているようだ。

作り手にも教えてほしいことがある。怖いのでほんとうは聞きたくはないが。
「やりたいこと、分かった?」
「できてた?」
「こういうことしていても、いい?」
「こういうことする価値はある?」
「ぼくはこれからどうすればいい?」
「おもしろかった?」
など。筒井康隆は作者には分からないものとして「作品の世界的意味」と言っていた。

ただ口に出すのはぐっと、我慢する。書いてみてよく分かるが、これはもう何と言ってもあれだ。野暮だ。