シナイの王国

演劇部顧問ナカムラのあれこれ

小劇場の高校演劇

工藤千夏さんのブログを引用します。記事はこれでほとんど全部。文中の高校演劇青森オープン小劇場祭は「あおもり〔高校演劇〕小演劇祭」と名前を変えて実施されます。

以下引用

 2000人規模の会場と80人規模の会場では、発声や演出の表現方法も自ずと変わる。大規模会場向けの演劇を否定する訳ではないが、たとえば、演劇を始めたばかりの高校生がマイクなしで1000人規模の会場で演じるときには、声が届くかどうかだけがポイントとなり、他の部分の演技にまで気を使うことができなかったりもする。実際に相手役の目を見るだけでは、客席には見ているように見えず、どうしたら「見ているように見えるか」という技術だけが問われたりもする。そういった技術が悪いというのではなく、そういった技術を習得することだけが演劇ではないということを知ってもらいたい。高校演劇の大会を大規模会場で行うことを否定するのではなく、小劇場演劇も演劇部員たちに体験してもらいたい。そのためには、ライト級と呼べるような、キャパの違う会場での大会が必要だと思う。山梨オープンやアトリエ春風舎で行われた高校演劇小劇場フェスティバルは、そういった指導者たちの思いによって生まれてきたものだと考える。

小劇場で行う高校演劇フェスのメリット、ポイント
・80人~100人のキャパだからこそ追求できるデリケートな表現
・プレッシャーでもある観客の近さをどう克服するか、考えるか
・1時間という時間制限にとらわれない上演時間で表現する
・緞帳を使わない幕切れ(暗転と緞帳は両方必要か?)
・次の大会のために勝ち抜くということを目標にせず、観客に訴えかけることについて考える

 小劇場の演技に慣れてしまって、大規模劇場に対応できない……というような事態は起こらないのか? 大劇場にメリットはないといういう見方が生まれれば、それはそれでまた偏った考え方ではないのか? これから、議論し続けたいこともたくさんあります。このムーブメントを一過性のものに終らせることなく、継続的に考えていけるよう、第2回以降もAGPでの高校演劇青森オープン小劇場祭を続けていけたらと思います。