シナイの王国

演劇部顧問ナカムラのあれこれ

放課後の、その他の

サマーフェスティバルで上演した「放課後の旅その他の旅」という脚本を書き直している。今度の大会用である。サマフェス版は季刊高校演劇の次号に載る予定。フェスティバルと大会は劇場も違うし目的も違う。フェスティバル向けの作品てあるだろう。学園祭向けも。よい芝居ならどこででも、というのは実際的でないように思う。では大会向けというのはコンクールで勝つためか、お前は勝利至上主義か、勝つためには何でもするのか、という短絡な単純な単細胞な人の声が聞こえてきそうだが、違う違う。大会が一番冒険できるんじゃないですか。
フェスティバルや学園祭は、あれはもちろん全力で思い切りやったが、いわば100パーセントの七割である。松本人志の言葉より。
大会はどうか。これはもうどれだけスタイルの冒険ができるか、思い切ったことができる機会です。受けも狙うし楽しませることももちろん考える。しかしやりたいことはやり、これがおれたちは一番かっこいいと思っていることだどうだ、という高校演劇、あるいは演劇の枠組みのなかでというより枠組みをちょっと広げてやろう、くらいのところを目指したい、ということです。みんなそういうことを目指してるんじゃないの?
サマフェスの「放課後の旅その他の旅」の劇評でいちばんうれしかったのは「斬新かつ高校生らしい」、「高校生らしい」の評判が高校演劇界では非常に悪い。へそ曲がりのおれとしては「高校生らしい」を突き詰めてやろうと思う。15~17歳の女子高校生のいちばん得意なところを使わないでどうする。それでどうやって大人の鑑賞に堪える?もちろんいわゆる「高校生らしさ」芝居には当然のことながらリアリティは感じない。「あんなこと言わない」「あんなこと考えない」「あんな言い方しない」。では、いわゆる悪写し、くそリアリズムでやるか、というとそれも楽しくない。やりたいことやってそこに高校生が、というより本物の少女がいると実感してくれるか。ということを目指しています。