シナイの王国

演劇部顧問ナカムラのあれこれ

浪費の子

 家が商売で日銭が入ったし、息子のできもよく(おれおれ、おれのこと)かわいがられていたので、小遣いをせびっては本屋に行き、今日は一冊明日は二冊と、本を買っては読み散らかしていた。
 初めて買った文庫は講談社文庫、興津要先生編の「古典落語 上」、家に帰ってむさぼり読み次の日に「古典落語 下」を買い、帰りに寄った本屋に「古典落語 続」があるのを見つけ、急いで家に帰り、金をもらって戻って買った。その後「古典落語 続々」「古典落語 大尾」を買って、小学校5年生にして吉原とはどういう場所かだの、一両は四分、一分は一朱、二八そばは十六文だの、夢中になった。
 初めて書店に注文して取り寄せたのはプリヤ・サラヴァン「美味礼讃」中学校一年というから嫌なガキだ。
 とうとうあまりのくだらない浪費がばれ、セーブがかかることになる。いままでのくだらない買い物の数々!「こち亀」100巻大人買いだの、「ジョジョ」読んですぐブックオフに売り、後悔して翌日買い直しだの、「スラムダンク」3度買いだの、くだらなさを競うように無駄遣いをしていたが、今となっては夢のような日々も終わりを迎える。
 あとは内緒でアマゾンを利用する以外ない。