シナイの王国

演劇部顧問ナカムラのあれこれ

劇場について

きっかけは徳島の古田先生のHP「感想を叫ぼう!」。古田先生の文章「高校演劇の大会を小劇場で」。共感して書き込みした。ときは90年代、『現代口語演劇のために』である。
いったいキャパ1000人というのは何ごとだろう。こちら部員は常に数人。いつも2人か3人、多くて5人の芝居を書いていた。何かにスポイルされて生きてきた女の子のちょっとした屈折と意地、なんてのしかやらない。大声が似合うか?すべての主題にはそれを語るにふさわしい方法がある。あるいは方法にふさわしい主題がある。声張ってやりたくないんだよお。
繰り返し述べるがちょうど関東の3巨人の舞台を間近に見てきた世代であるので、大劇場をものともせず、あるいは大劇場をフルに活用して繰り広げる舞台成果を認めることは人後に落ちない。3巨人とは言うまでもなく秩父農工若林、船橋二和船橋旭松戸馬橋土田、共愛荒井敬称略の3人だ。このヘビー級のぶちかまし。どかん。もうこれはヘビー級はヘビー級でやってくれ。こちらはライト級だ。というのがライト級大会の構想の始めだ。
しかしその後、大きなところでやる機会がかえって増えてしまった。大劇場での方法を少しずつ考えていくようになる。開き直ったのか、広い舞台を埋めなければという気持ちが去り、広い舞台を広いまま使うことにした。しかもできるだけ隅っこにいることにする。隙間だらけの舞台の出来上がりだ。部員もキャストも増えたがこればかりはあまり変わらない。自分なりに大劇場で上演するやり方を見つけたのである。声はどうしたかというと、聞こえるために大声を出す方向でなく、観客に聞いてもらうという下手に出る方向でやっている。
大劇場は高校演劇の表現の多様性を損なう、と思っていたが、大劇場での方法の多様性もあるのだということに気づいたわけだ。
それでも大劇場が得意なわけではない。小さい劇場でさっと来てさっと帰る、ライト級大会、乗り打ち大会がやりたいのだ。山梨オープンは実験の場でもある。続けるにはなるべき負担にならないことであり、今のところ予算は10万、なんとか集めて自腹は避けることが目標。今年も台本売ります。寄付だと思って買ってください。