シナイの王国

演劇部顧問ナカムラのあれこれ

観客について

うちの芝居の一番よい観客はおれだが、うちの芝居は基本的に観客を信用したつくりになっている。基本やりたいことをしているが自分たちのやりたいことが一番のうちのおすすめであるからである。見巧者にも満足できる、高校生の観客にも楽しんでもらう、演劇心も刺激したい。
テーマの探求とスタイルの模索は広く創作活動をしているものに対する課題であり、どちらが欠けても現代演劇ではないだろう。高校演劇としてのスタイルの模索をしていかないと楽しくない。おれが。ただそれほどオリジナリティーがあるとも思えない。さすが歌枕、本歌取りの伝統、日本文学専攻、オリジナルにはさほど価値を求めない。どこの影響かはすぐ分かる。高校演劇で言えば一時の共愛学園であろう。おれにとって共愛学園は平成二年から特別だ。
畑澤先生が書いているとおり「女子高生の役者しかいないカンパニーの武器は何か」ということである。これはそれこそ高校演劇に課せられた条件をのみこんで演劇としての価値を追求するからこそ生まれる言葉である。高校演劇であって大人の鑑賞に堪えるのは高校生がやれることを存分にやったときだと思う。
ただし、もちろんそうでないアプローチもあることは承知している。どちらがすぐれているという問題ではない。それについて争うつもりもない。
いま彼女が1000人の目にさらされて一番魅力を発揮できる瞬間とは何か。部員が増えたおかげで人と人との舞台上の組み合わせが格段に増えた。前は入れ替わり立ち替わりここは「飯野」と「上田」、ここは「大宅」と「江川」、少ない手持ちでつないでいたが、今度は14人。新入生が来たら全員出すつもりなのでどんな劇になるかはまだ分からないが楽しみである。
それにしても出ハケ問題。どんなことを言うかよりどうやって出してどうやってハケるかの方が大きな問題である。